いよいよ明日から、確定申告の受付が開始されます。今年は新型コロナウィルスの流行に伴い確定申告の期間が1ヶ月延長され期限が4月15日までになっていますので今年初めて行う方は慎重に時間をかけてできると思います。
ただし今回の内容は米国高配当株投資を行なっている人が基本的に対象です。
目次
外国税とその問題点
外国株式投資をしている人はすでに把握している人も多いと思いますが、外国株を所有することで発生する配当金にはその国で一旦課税されてから私たちの口座に振り込まれます。これが外国税です。
米国株式の場合は10%の税金分が差し引かれたのちに入金されます。
しかし、このとき特定口座の場合日本国内の税金分20.315%(所得税15%、震災復興税0.315%、住民税5%)分も差し引かれ入金されることになるのです。
つまり、特定口座で米国高配当株を保有していると現地での税金と日本国内の税金あわせて2種類の税金が課税されているのです。この状態を二重課税といいます。
このため仮に1年間で20万円分の配当金がもらえる場合、外国税としてまず2万円差し引き残りの18万円から約20%と計算して3.6万円差し引かれ残りは14.4万円となります。
つまり日本国内株での配当金にかかる税金は約20%に対し米国株に対しては約28%の税金がかかり若干割高になってしまうという問題が発生するのです。
外国税額控除制度
これだと外国株式に投資するメリットが少ないと感じてしまう人がいると思いますが実はこれには多少面倒な手続きをすれば帰ってくる可能性があるのです。
それこそが外国税額控除制度なのです。
外国税額控除を利用するには必ず確定申告を行わなければなりません。
また、外国税控除額には限度額があり計算式があります。
この計算式のポイントは支払う所得税額が大きいほど、限度額が大きくなるということです。
このため、住宅ローン控除を受けている人は支払う所得税額が少なくなるため限度額は小さくなりますので注意して計算しましょう。
具体例
実際に具体的な数字を用いてどれくらい外国税控除によるメリットがあるのかを計算してみましょう
では自分の源泉徴収票と年間取引報告書をもとに確定申告をやっていきましょう。
ただし私の場合は住宅ローン控除を受けていますが今回はこの金額は無視して計算します。
- 給与所得分:1,410,195円
- 外国株式配当金:400,938円
- 配当金の源泉徴収分:55,261円(所得税)、18,030円(住民税)
- 外国税分:39,975円
外国税控除を行わない場合
まず、外国税控除を行わずに国税庁の確定申告入力フォームに記入します。
決まった通りに入力していくと支払うべき所得税は128,135円となりました。
源泉徴収票が間違っているのでしょうか?追加で2,300円払わなければなりません(笑)
外国税控除を行う場合
一方外国税控除を行う場合は外国税控除の項目を記入する必要があります。
このように記入すると外国税額控除額は13,225円となりその分の税負担が軽くなったことがわかりました。
外国税額控除をしないと追加で2,300円支払い、外国税額控除による還付金が10,851円なのでその差はちゃんと13,225円になっていますね。
この入力作業自体は初心者がやると30分から1時間程度はかかるかもしれませんがそれで帰ってくる金額が1万円以上あるなら時給換算で1万円を超えるわけですからかなり高単価なアルバイトです(笑)
対象となるもの
外国税額控除をしなければならないのは直接外貨で支払ったものに関する銘柄です。
米国個別銘柄はもちろん、VYM,SPYD,HDVなどのETFも含みます。
対象とならないもの
円で買い付けを行う投資信託商品、たとえばeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)や楽天VTI、楽天VYMなどはファンドが勝手に外国税控除をしてくれているので申告する必要はありません。
まとめ
- 外国税額控除により外国税の還付を受けることができる
- 外国税額控除を受けるには必ず確定申告をする必要がある
- 外国株式を扱うものでも日本で購入できる投資信託では手続きは不要
- 住宅ローン控除を受けていると所得税額が少ないので限度額は小さくなる