【第98回】相続税と贈与税の一本化!1000万以上の増税?相続対策はもう不可能?

事前に知っておきたい内容

相続税と贈与税の一本化の解説をまずして行く前に相続についてきちんとした知識をつけておかなければ理解できません。

なのでまずは相続に関するこれだけは知っておいてほしい用語を解説していきます。

法定相続人

法定相続人とは、亡くなった人の資産を法律上相続する権利がある人のことを言います。

例えば自分の家族構成で、私が亡くなった場合に法定相続人は妻と子供なります。

もし妻と子供がいない場合は私の両親になり、両親がなくなっていた場合は兄弟になります。

そしてその兄弟も亡くなっている場合はその子供になります。

基本的に亡くなった人に一番近い人が相続する権利があると考えていただいて結構です。

法定相続人の優先順位 週間東洋経済2021.7.31より抜粋

相続税の基礎控除

相続税の基礎控除は【3000万+600万×法定相続人の人数】となります。

この公式はマネーリテラシーを高くしておきたいと思うならば必ず覚えておくべき重要な公式です。

この金額を超えた部分に対して相続税の税率が決定するため、もし自分が亡くなった時の相続金額というのは必ず把握しておかなければなりません

相続税の基礎控除計算式

贈与税の改正

では今回の本題に入っていきましょう。

2020年12月に令和3年度税制改正大網が発表され、その中で相続税と贈与税の見直しについて言及されていました。

実は以前の記事の中でもこの大網のことに触れていたのですが全く私自身も気づいていませんでした。申し訳ありません。

贈与税は毎年110万円を越えた分に発生する

まず贈与税には毎年110万円までの非課税枠があります。もし1年以内に200万円の現金を贈与した場合はそこから110万円を引いた90万円に課税されるというのが贈与税の仕組みです。

贈与にはみなし相続財産と呼ばれる制度がある

もし贈与した人が亡くなった場合、その時点から過去3年にわたっての贈与額はすべて相続財産としてみなされます

このことをみなし相続財産と呼ばれるのですが、この過去3年分が15年分にまで拡大されるという検討がなされているそうです。(まだ決定ではない)

つまりもし、毎年110万円の贈与を子供に行なっていた場合、330万円がみなし相続財産として換算されるものがこの改定がなされてしまうとこれが1650万円まで増額します。

この数字のインパクトは非常に大きいものです。

贈与税の抑えておくべきポイント

相続対策はもうできないのか?

ではもしこの改定がなされてしまった場合に相続対策はできなくなってしまうのか?という疑問があると思いますが、実は相続対策は毎年の贈与だけでは決してありません。

養子をとって法定相続人を増やす

自分に孫などがいれば養子にすることで法定相続人を1人だけ増やすことができます。

これにより相続税の基礎控除と保険金の基礎控除合計で1100万円分の非課税枠が増えることになります。

ただし、これを行って相続税が0円になれば良いですが、もし相続税がかかってしまう場合はこの養子には2割増の相続税がかかります。

相続税回避目的に養子をむやみやたらに取れないようにするための予防線ですね。

生命保険控除を利用

死亡時の生命保険には法定相続人の人数×500万円の相続税非課税枠が存在します。

掛け金と死亡保険金が同額になる相続税対策のためだけの保険商品があるのでそういったものを検討すると良いかもしれません。

ただし、ここにも外貨建てや資産運用型みたいなぼったくり商品があったりするのでしっかりと見極めが必要です。

教育費には贈与税の制限がない

教育費の一括贈与に関しては非課税枠が決まっていますが、毎月の学費や塾の月謝など、その都度必要な金額の贈与は原則非課税となっています。

なので子や孫への教育費はなるべく資産が多い人が出してあげると相続税対策になったりするのです。

実際に私の家では子供の保育料の引き落としは祖母の口座に設定しており、毎年110万以外の贈与としてきちんと証拠が残るようにしています。

教育費に含まれるもの
学費、教材費、塾などの月謝、芸術文化のための習い事(ピアノ、絵画など)、そのための交通費など

法定相続人以外に贈与

先ほど紹介したみなし贈与は実は【法定相続人】にしか適応されません。このため、法定相続人にならない孫や、子供の配偶者に毎年110万円贈与し続けることで相続財産を減らすことが可能です。

法定相続人以外への贈与はみなし相続にならない

収益用不動産物件を購入する

遺産というのは現金ではなく不動産で相続することで評価額を減らすことが可能です。実際に計算するにはその土地の路線価格、借地権割合また賃貸割合(入居率)が必要になります。

また、200m2以下の賃貸物件の場合は評価額の50%にまで相続財産を減額できる制度もあるため相続税回避のために不動産を買うというのは結構テッパンな手法になります。

ただし購入してから3年以内に死亡してしまった場合はこの制度は適応されませんのでご注意ください。

また、詐欺まがいの物件を売りつけてくる業者もいるために不動産の購入の際には注意が必要です。

株式会社を設立する

あんまり真似をしたいと思う人がいるのかどうか、またはグレーかもしれない手法にはなりますが株式会社を設立するという方法を紹介します。

給料や配当金として支払う

相続人がその会社の株主、役員として所属することで給与や配当金という形で資産を移すことが可能です。

ただこの場合は、相続税ではなく所得税の対象になりますのでどのくらいの給料を渡せばいいかはシミュレーションが必要になってきます。

死亡退職金を法定相続人に支払う

資産をもった役員が亡くなった場合には死亡退職金を支払うという取り決めを行うことができます。

実は生命保険の基礎控除同様に死亡退職金にも法定相続人×500万円の基礎控除が認められるため、よい相続税対策になります。

会社の価値を下げる

株式会社の価値は会社の純資産額で判断されることが多いです。

たとえば資本金5000万円で立ち上げた株式会社の価値は5000万円の価値がある会社です。

その株式を持つ株主は5000万円の資産を持っていることになります。

仮にですがこの資本金のうち5000万円を使って超高級な中古の外車を購入したとしましょう。

その場合【会社の資産の=車の価値】になりますが、車は減価償却資産になるため特に中古車の場合2年でその価値は1円になります。

つまり会社の価値は2年経つと【1円】になってしまうんですね!その状態で株主が死亡し、株主の権利を法定相続人が相続をすると1円の資産を相続することになります。

もし、相続後に車を売却して現金化した場合はまた会社の価値はその現金になり売値が買値と変わらなければ無事に節税に成功ということになります。

まぁ会社がそんな高級な車を買ってどう使えば事業として認められるのかとか、会社の設立に少なくとも30万くらいの諸経費がかかったり、税理士やら司法書士さんにそれを代行してもらうともっとかかります。

ようするに手間が多いです。良い子の皆さんは真似しないでください。

ちなみに類似業種比準方式の場合は配当金を下げることで意図的に会社の価値を下げることも可能です。

ここらへんは事業性を持たせる口実とかグレーな部分も多い可能性あるため図解はあえてしてません。

円滑な相続対策のために

今回、さまざまな相続対策を紹介しましたが結局のところ相続に関わる家族全員の仲が良好でなければ、円滑に行うことはできません。

法定相続人以外への贈与なんかの対策はもろに家族間の信頼関係が重要になります。

結局のところ相続のことを考える前に家族間での良好な関係を結ぶだけの人間性が重要であると私は考えています。

私の場合ですと法定相続人は自分と自分の母親になるのですが、祖母は自分の孫でもある兄や妹の名義でも口座をもっていました。

本来ならばこれは名義預金といい、私自身と私の母親の相続財産になってしまうのですが、祖母自身が孫に残したい財産なんだという意図をくみとって生前に兄と妹に暦年贈与することにしました。

ただし、妹に関しては本人の将来のために固定費削減とつみたてNISAによるインデックス投資の運用を促しましたけどね。無駄遣いはしてほしくないなと思って最低限のことだけちょっと口出しをしました。

兄に関してはすでに事業をいくつも行っており、リテラシーはかなり高いため問題ないと思ってます。

はるさめ
相続額が少ないほど家族で争いになる事例の方が多いようです。相続が【争続】にならないように普段から家族や親兄弟と良好な関係を築いておきましょう。

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