前回はETFと投資信託の比較をしてETFのメリットを解説しました。
今回は私自身がもっとも多く保有している高配当ETFに関する解説をしていこうと思います。
目次
米国高配当ETFとは
前回紹介しましたETFには多くの種類のETFが存在しています。
例えば日経平均の株価指数に連動するように株式を分散させる日経225上場投信(コード1321)があります。
また、NYダウに連動するようなETFや、国内債券を保有するもの、全世界の株式に投資するものや、金資産に投資するETFまで存在します。
さらにこれは日本の株式市場にかかわらず米国株式市場にも存在しています。
私はこの米国株式市場のETFを定期的に買い付けして積立を行っています。
ではなぜ日本ではなくあえて米国市場を選択するのでしょうか。
安定的な配当金を狙うなら米国市場しかないから
日本にも確かに高配当ETFは存在しています。しかしそれほど人気もなくあまり注目もされていません。
それはそもそも日本の企業に配当金を安定的に出している株式会社が存在しないという事実があるからです。
例えば米国では25年以上配当金を出しつづけている企業は100社以上あります。
一方で日本企業ではどうでしょうか。1社のみです。そしてそれは花王です。
それ以外の企業は継続しての配当金を出せていないのです。というよりそもそも株式会社の本質を理解できていない会社ばかりが多いという印象です。
本来は株式会社は出資してくれた株主のために利益を上げて株主に配当金を還元するという仕組みで成り立っています。
そういった意識の強い企業が日本にはあまりなく一方で米国ではその考えが根強く息づいており非常に多くの企業が存在します。
通常会社の業績が下がってしまうと利益が少なくなってしまうために配当金も少なくなってしまうと思われがちですが、米国企業に多いのはあえて配当金を増やしてもっと頑張ります宣言をするところが多いのです。
ただし日本にもそういった企業は少なからず存在はしています。現に今回のコロナショックで大きく株価を下げた長谷工コーポレーションは自社株買いで株価を支えた上に配当金を増やす決定をしています。
こういった会社が米国には非常に多いのでそれを扱うETFも多い米国株に投資するのが安定的な収入を生み出すのだと私は考えました。
キャッシュフローを読みやすい
配当金はある程度過去の推移からい今年はいくら配当が出るのかというのが予想され比較的精度が高いです。
一方で株価の値動きは誰にも予想がつきません。今持っている株式が来年上がっているかどうかはプロでも判断はできないでしょう。
このため家計管理を行う上では配当金がいくら出るか予想できることというのは非常に都合がよいのです。
例えば今月配当金が2万円入ったらそれを車のガソリン代に充てようとか旅行の宿泊代に充てようとかを考えることができるわけです。
今日買った株式を来年売ってその利益で旅行に行こうという計画は立てられませんよね。
また今回の趣旨とはずれてしまっていますが日本株の長谷工コーポレーションでは今年の株主への配当金は最低1株70円は確約すると株主総会で決定しています。
このように配当金はある程度予想がしやすくあまり変動が起きても株価ほど大きな値動きはありません。
バリエーションが豊富
米国株式市場に存在する高配当ETFにも非常に多くの種類が存在します。
いわゆるテーマ別とよばれ特定の業種や特定の条件に基づいて分散投資を行っているETFが存在しています。
おすすめともに紹介していきましょう。
VYM(バンガード・米国高配当株式ETF)
世界最大の資産運用会社の1つであるバンガード社が出す高配当ETFです。
この1975年から設立されているバンガード社の運用総額は572兆円に上ります。
基本的に長期運用を原則としたETFを展開しそれを非常に安い手数料で自動的に運用をしてくれます。
株主の利益は株主のためにという理念を安い手数料と長期運用で実現するという非常にシンプルに実現している会社だと思います。
この会社が出す高配当ETFであるVYMの信託報酬はなんと驚異の0.06%となっています
これはeMAXISシリーズよりも安い手数料です。100万円投資して1年間でたった600円の手数料で勝手に運用してくれる訳ですからどれだけ割安なのかわかるかと思います。
また分散は大型株を中心に428社という数ある高配当ETFの中でもかなり多くの企業に投資を行っています。また、年1回でリバランスと言って組み入れ銘柄を再構成しています。
下の図はセクター別の投資配分といってどの業種の会社をどれくらい保有しているかを示します。
セクター別でみるとヘルスケアが一番多く、金融に次いで消費財が入っています。
一般的にヘルスケアや消費財というセクターは景気の変動にあまり影響を受けにくく、反対に金融やテクノロジーは景気敏感株だといわれています。
それらを分散して保有されているため景気のいいときも悪いときもさほど影響を受けにくいという非常に攻守のバランスが取れた投資配分だといえると思われます。
配当利回りは3.63%と高配当ETFの中では比較的低めです。(2020年7月)
しかし株価自体の値上がりはいい具合に右肩上がりなため十分にキャピタルゲインも見込めるのではないかと考えています。
株価自体が上がれば配当金ももちろん増えるためしっかりとインカムゲインも入りそれを再投資することで複利運用することも可能です。
このVYM1つだけに投資するだけで十分にリスク分散できる投資だと言えます。
HDV (iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF)
これも世界最大の資産運用会社の1つブラックロック社が出す高配当ETFです
ブラックロック社は1988年から設立されており運用資産総額は698兆円です。
この運用会社もかなり安い信託報酬で優れたETFを提供してくれています。
財務優良企業の70〜80銘柄に分散して株式を保有しています。
こちらのETFはヘルスケア、通信、生活必需品など景気変動に影響を受けにくいセクターが多めに組み込まれているためかなり守備力の高い構成になっていると思います。
信託報酬は0.08%で配当利回りは直近で4.22%と比較的高めになっています。(2020年7月)また、リバランスは年4回とメンテナンスの回数が他の高配当ETFと比べると多めになっています。
これもコロナショックの影響は受けましたが順調に右肩上がりを見せているため安定した収益が見込めそうなので私自身も保有しています。
SPYD ポートフォリオS&P500®高配当株式ETF
これも世界最大の資産運用会社ステートストリート社が出している高配当ETFです
1988年からETFを扱い始め運用総額役320兆円に登ります。
信託報酬は0.07%で配当利回りは直近で4.58%となっています(2020年7月)リバランスは年2回で1がつと7月に行われています。
SPYDはS&P500の企業の中で配当利回りが大きい企業を上から80銘柄を同じ構成割合になるように株式を購入しているという完全に配当金狙いにしぼった攻めのETFです。
このためセクターを見ると不動産、金融が多くを占めており非常に景気敏感株中心のため不景気に非常に弱いという特徴がありますが好景気の時も伸び代は十分に期待できるものと言えます。
またこのSPYDはあくまで配当利回りが大きい銘柄を上から順にしか組み入れていないため財務状況が悪い企業も含まれてしまうというデメリットが生じています。
コロナショックの際はVYM、HDV、SPYDの中では最も下落率が高かったのはこのSPYDで約60%以上価格が下落しました。
私はその落ちた際に買い付けできたのでコロナショックは避けることができましたがその前に保有していた方々はなかなかショックがデカかったと思います。
またSPYDは設定日が2015年と歴史が浅いためキャピタルゲインを見込めるかどうかという判断がまだできないところが懸念点と言えます。
まとめ
高配当ETFへの投資は家計のキャッシュフローを予測し易い
高配当ETFは現在のところ米国市場のETFが一番オススメ
なかでもVYM、HDV、SPYDが代表的である
VYMはバランス型、HDVは守備型、SPYDは攻撃型
私的にはVYMのみの保有もしくはHDVとSPYDを1対1の保有率でもつと良い
実際に私自身の保有状況はこんな感じでVYM:HDV:SPYDが2:1:1になるように買い付けています。(7月24日現在の価格です)
大体高配当ETFに600万円くらい投資していて利回りが4%位になるので年間で24万円分の配当金が見込めそうです。実際には為替変動や税金もかかるのでちゃんと計算しないといけませんがざっくりで月2万近くは配当金が入る計算です。
この配当金をどんどん増やして生活費を下げていくことで配当金による収入が生活費を上回ることで働くことに依存せずに自由な生活を送ることができますね。
これをFIREといいFinancial Independence Retire Earlyの略です。
近年欧米ではこの言葉が流行っておりこれを目指す人が多いようです。
コロナショックの際も楽天証券の新規申し込み数が大幅に増えたようですし投資に関心を持ってくれる人が増えるのはなんにせよいいことだなと感じています。
少しでも自分の知識が人の役に立てばと思います。