引き続きETF関連のお話をしていきます。
前回は高配当ETF関連のお話で今回はS&P500への投資をETFで行うにはどういったものになるのかを解説していきたいと思います。
目次
S&P500のETF
投資信託でS&P500に投資するにはeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を購入します。
それによって間接的にS&P500の株式を買い付けできるわけですがこの間に入っているファンドはベビーファンドとマザーファンドの2つあります。
では実際にETFを買い付けするとこのベビーファンドを挟まずに購入することができます。
これは米ドルで購入しますし楽天証券においては積立設定はできません。
このため自分で注文を行って購入しなければなりませんので少し手間がかかるわけですね。
しかしその手間をかけてでも自分で購入する価値が充分にあると私は思っています。
ETFを直接買い付けるメリット
では直接ETFを買い付けるメリットはなんなのでしょうか。
信託報酬が投資信託よりも安い
eMAXIS Slim 米国株式の場合の信託報酬は0.09%位で、これが業界最安クラスと言われています。
一方でこのくらいの信託報酬はETFの世界ではまだ高い方の部類に入ります。
この後でも紹介しますが同じS&P500に投資するETFの信託報酬は0.03%とさらに低い手数料で済みます。
逆に言えばこの信託報酬の差分が投資信託の販売会社の取り分になるわけですから買い付けを自分できそうだなとか、もしくはこれを聞いてもったいないと思える人は自分でETFを買い付けすることの方が向いているかもしれません。
配当金が直に手に入り選択肢が広がる
投資信託ではベビーファンドの方に配当金が支払われてそれが自動的に再投資されています。
逆に言えば配当金の使い道は再投資しかできないという選択肢が絞られた状態という考え方もできます。
自分でETFを買い付けた場合は配当金も自分で受け取ることができるため、配当金の使い道も自分で選択することができるようになります。
配当金を自分の生活費に使うもよし、再投資にまわすのもよしだということです。
どんなETFがあるのか
米国市場でS&P500に投資すべきETFは2つほどあります。これらの紹介をしましょう。
IVV iシェアーズ・コア S&P 500 ETF
ブラックロック社が提供するS&P500のETFです。こちらの信託報酬は0.03%という投資信託の3分の1で済む驚異の低コストなETFです
配当利回りは直近で1.55%あります(2020年7月現在)
保有比率は上記のようになっています。S&P500の株全てに投資しているわけですが保有比率が情報技術系(グーグル、アマゾン、マイクロソフト、フェイスブック、アップルなど)が多いです。
それだけアメリカ全体でIT系の企業が多くしかも発展もしているのが伺えますね。
VOO バンガード・S&P500 ETF
バンガード社が提供するS&P500のETFです。こちらも信託報酬は0.03%となっております。
配当利回りは直近で1.93%となっており若干IVVよりも高い配当利回りとなっています。
保有比率は上記の通りでありますが、IVVと比べると若干IT系の保有率が多いくらいです。
これは同じ投資先でも投資配分が異なることによるものです。
だとしてもIT系の企業が一番多いのには変わらないので微々たる差だと思います。
正直どちらを買いますか?と聞かれてもどっちでもいいかなと思います。
配当利回りは若干VOOの方が高いですが変動していくらでも逆転することはあるので現状の配当利回りだけで判断するのは無意味だと思うからです。
2020年7月28日現在の終値がIVVが324.50ドルでVOOが296.97ドルでした。
この価格差は結構大きいので投資資金が月3万くらいで積立できるのはVOOの方ですね。
ただETFの価格が上昇していくと1株も買えないことになってしまうのでやっぱりETFを直接買い付けするには投資信託よりも多くの投資資金が必要になってくるのです。
投資信託は1000円からでも買い付けできるというメリットがありますからね。
日本にもS&P500のETFが存在する
実は日本にもブラックロックが出している S&P500に投資できるETFが存在します。
iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF 1655
ブラックロックが東京証券取引所に出しているETFでこちらの信託報酬は0.075%です
ざっくりいうと日本版IVVといったところでしょうか
結局はIVVへの投資になっており本家のIVVと比べると経費率が0.045%の違いがあります。
本家のIVVはドル建ての購入になるために為替手数料とかが発生します。
そういったもろもろの負担や手間を考慮してのものだと思うのでやっぱりいきなりドルを買うなんてちょっと怖いなと思った人はここから手を出していくのもいいのではないでしょうか
2020年7月27日の終値は2440.64円になっていますので2500円あれば1株買えますので直接米国市場でETFを買い付けるよりも少ない資金で購入できると思います。
個人的には投資資金をしっかり用意できる環境をつくった上で米国市場で直接ETFを買い付ける方がいいのかなと思います。
日本版IVVを購入するにも買い付け手数料が発生しますから下手をすると手数料負けしてしまう可能性の方が高いのかなと思います。
というのも楽天証券ではおそらくほとんどの人が超特コースで株式を購入していると思います。このコースでは手数料が以下のようになっています。
5万円までの買い付けは一律55円の手数料がかかります。例えば1株2440円で1株だけの日本版IVVを購入したとすると購入手数料は2.2%かかっていることになります。
これが俗にいう手数料負けの状態です。
一方でこれを20株購入した場合は48,800円に対して55円の手数料がかかり0.001%となります。
つまり買い付けできる株数が多いほど実質利回りが上昇しやすいという現象が起こるのです。
手数料負けしないためにも購入手数料が発生しない投資信託で積立を行うか、投資資金自体を大きくした状態で直接ETFを買いに行く方が利回りが上昇しやすいということになります
どちらにせよ個人的にはETFで買い付けるなら米国ETFを直接買い付ける方が良いとは思います。
まとめ
- S&P500に連動するETFには米国市場でIVVとVOOがある(他にもあるが紹介していません)
- ETFを購入した場合は配当金を直接受け取れるために使途に選択肢が出る
- eMAXIS Slim 米国株式の投資信託を購入した場合は配当金は再投資されている
- 手数料はETFを直接買い付ける方がかなり安くなる
- 投資信託にするかETFを選ぶかは個人の手間や投資に対する意識の問題で好みである
直接買い付けによるETFの積立投資は投資元本がもろに実質利回りに影響することになります。
このことからもわかるようにいかに投資元本を多く用意できるかが大事な要素です。
しっかりと家計の支出を見直して投資資金を捻出しましょう!