【第42回】生命保険と税金の重要ポイント

皆さんが加入されている生命保険はどのように加入しているかきちんと把握していますか?

保険金が下りたり、満期時に払戻金が発生した場合に税金がかかることはご存じでしょうか?

しかも契約者と被保険者、受取人が誰かによってそれぞれ適応される税金が異なることはご存じでしょうか?

質問攻めになってしまいましたがこの質問にしっかりと答えられる人はおそらく少ないのではないかと思います。

今回は保険金が下りた際にかかる税金について解説していきましょう。

目次

契約者、被保険者、受取人の関係を把握しましょう

保険を契約する際には必ず決めなければならないこと、まず誰が保険金を支払うのか?これが契約者です。

次に保険の適応を受けるのは誰なのかを決めます。これを被保険者といいます。

そして実際に保険が下りた際にその保険金を受け取るのは誰なのか?それが受取人となります。

保険に関わる人
  • 契約者:保険料を支払う人
  • 被保険者:保険の保証内容が適応される人
  • 受取人:保険金を受け取る人

この三者の関係性がのちに保険金を受け取った際に非常に重要になってきます。

死亡保険金の受け取りの場合

被保険者が亡くなってしまい死亡保険が下りることになりました。その際の契約者、被保険者、受取人によって適応される税制が異なることをいくつかのパターンで説明したいと思います。

分かりやすいように当ホームページの家族である夫婦2人と子供2人の家族構成を例で考えたいと思います。

契約者と被保険者が同じ場合

契約者と被保険者が同じ夫であった場合を考えます。この場合は受取人が誰かに関わらず相続税の対象となります。

ただし受取人が妻や子供2人のどちらかである場合は相続税非課税制度の対象になりますが、それ以外の人間が受取人になっていた場合は非課税の対象から外れてしまいます。

ここで相続税の非課税制度とは妻や子供2人の間柄を法定相続人と呼び、この人数×500万円分は下りた保険金から相続税の対象からは外れるよ、という制度のことです。

つまり、妻もしくは子供2人が保険金を受け取る場合は相続人が3人いるので、保険金が1500万円までなら税金がかかることなくそのまま受け取ることが可能です。

また、1500万円を越えた分が相続税の計算の対象になります。一方で受取人が妻と子供2人以外の場合はこれが適応されず下りた保険金全てが相続税の計算の対象になります。

受取人の違い
  • 妻or子供2人(相続人)の場合:1500万円までが非課税。それ以上の金額は相続税の対象
  • 上記以外の場合:保険金全てが相続税の対象

契約者と被保険者が異なる場合

次に契約者が夫で被保険者が妻で、妻が亡くなってしまった場合に受け取る場合を考えます。

この場合、受取人が契約者である夫の場合は所得税(一時所得)と住民税の対象になります。

一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。

要するに保険金のようにその時でしか得られない突然の所得に対しては一時所得が適応されます。そして若干この計算方法が面倒なので例を挙げて解説します。

例1
夫の給与所得 300万
妻にかけていた保険の支払総額 100万円
受け取った死亡保険金 1000万円
この場合、一時所得の合計額は1000万円から支払った保険料をひいてさらに特別控除で50万円の控除があるので一時所得額は1000万-100万-50万=850万となります。
これをさらに半分にした額を給与所得と合算した額が夫の課税される所得金額となります。
つまり合計で300万+425万=725万円が夫の課税される所得金額となるのです。

次に契約者が夫で被保険者が妻受取人が子供だった場合を考えてみます。

契約者、被保険者、受取人が全て異なる場合は受取人に贈与税が課税されます。

例2
契約者:夫
被保険者:妻
子供が受け取った死亡保険金 1000万円

贈与税は基礎控除が110万円ありますので1000万から110万を差し引き880万が贈与税の課税額となります。

直系尊属である子供の場合は特例贈与が適応されますので税率は30%となり264万円。この時の基礎控除が90万になることから贈与税の納税額は174万円を支払わなければなりません。

このように契約者、被保険者、受取人が誰によるのかによってかかってくる税制が異なるということがわかりましたね。

表にしておきましたので参照下さい。

満期保険金の場合

次に満期保険金の場合を考えてみましょう。適応される税制は先ほどの死亡保険金の例で詳しく解説しましたのでここでは割愛させていただきます。

満期保険金の場合は保険の利用が保険適応期間になく満期を迎えた場合に受け取るものですから、被保険者は特に関係ありません。このため問題になるのは契約者と受取人のみの関係になります。

また表にしましたので参照下さい。

いかがでしたでしょうか。保険の契約内容によって適応される税制が違うというのはあまり知られていないことだと思います。

このためあんまり深く考えずに契約書にサインしてしまうとせっかくの不測の事態に備えていたにもかかわらず思わぬ税金がかかってなんだか損した気分になってしまうのももったいないですよね。

自分の加入している保険の契約内容はしっかり把握しておく必要があると思います。私の場合は収入保障保険で契約者と被保険者が私で受取人は妻としています。

この場合一括で死亡保険金をもらう相続税の対象となりますが、毎月定額で支給される形をとると所得税となります。

またこの辺のことは過去の記事も見ていただけると幸いです。

いろんな保険商品が存在しますが基本的には死亡保険金が支給される定期死亡保険以外外の保険商品は不要と考えていますのでそのへんもしっかりとご自分で判断できるようになるとさらにいいですね。

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