サラリーマン農家にとっては避けて通れない確定申告
正直なところ農協と取引さえしておけば確定申告のサポートをしてくれます。
ただしこの時期は税務署と同じくかなり混んでいることもさながら
必要書類とかを持ってきてないとかあーだこーだいってるおじいちゃん農家さんがいっぱいいます
まさにカオスです。
そもそもなんで税務署じゃなくて農協でこんなことやってくれるんだろうと疑問にも思いましたが
どうやら税務署もできるだけこういった負担を減らしたくて農協の窓口に確定申告を代わりにしてあげてくれみたいなことかあるみたいです。
その辺の事情はあんまり詳しくありませんが、、、
話はそれましたが節税をきちんと行うために確定申告の内容をしっかりと把握する必要がありますので今回は特に収支内訳書の内容について解説したいと思います。
目次
収支内訳書(農業所得用)を確認しましょう
兼業農家が確定申告する際に必要な書類は
申告書B仕様と収支内訳書(農業所得用)の2つとなります。
サラリーマン農家は基本申告書Bには源泉徴収票に記載された内容を写すだけなので
さほど問題ではないと思います。
大事なのは収支内訳書の方ですね、では中身を見てみましょう。
赤枠が収入の部で青枠が経費の部です。
収入に対して支出の内訳はすごく細かくなっていますよね。
このために何度も言いますが1年を通して支出の管理をしなければなりません
さすがに項目が多いので必要性の高いところだけを掻い摘んで解説します。
減価償却費(げんかしょうきゃくひ)
初めて自分でやった時に一番苦労した項目、これが減価償却(げんかしょうきゃく)
10万円以上の設備を購入した場合に1年間の経費として計上するのではなく
何年間かに分割して経費を計上する仕組みです。高額な物はその年にのみ消耗するものではなく何年かけて消耗するかという項目です。
減価償却費は購入したものによって耐用年数というものが異なり一見するとかなり複雑に見えますが、実際はそんなに大変ではありません。
新車の軽トラを90万円で購入した場合
例えば9月に90万円の軽トラックを新車1台で購入した場合を考えていきます
収支内訳書の裏面に減価償却費の計算なるものがありますので左から順に埋めていきます。
減価償却資産の名称等の項目には「軽トラック」と記入します。
面積又は数量は「1」です。
取得年月は様式に従って「2・9」となります。
取得価格には支払金額を記入するので「900,000」と記入します。
償却の基礎になる金額にも取得金額と同じ「900,000」を記入します
2年目以降は未償却残高を記入することになります。
償却方法には定額法と定率法の2種類がありますが個人事業主は原則「定額法」と記入します。
耐用年数は軽トラックの場合は4年となっていますので「4」と記入します。
また、国税庁のHPより資産の法的耐用年数の表が見れますので他を記入する場合は必ずここで確認をお願いします。
償却率又は改定償却率は定額法の場合、1を耐用年数で割った数字を記入するので
「0.25」と記入します。
本年中の償却期間は、今回の場合9月に購入したので1年間で3か月間使用していることになりますので、「3/12」と記入します。
本年分の普通償却費には900,000×0.25×3/12の計算結果を入力しますので「56,250」と記入します。
特別償却費は関係ないので記入する必要はありません
本年分の償却費合計には先ほどの本年分の普通償却費と同じ金額を記入します。
事業専用割合は第3回で説明した家事按分から考慮した割合を%で記入しましょう。
ただし今回は軽トラックなので農業専用にしか使用しませんから「100」を記入します。
本年分の必要経費算入額には本年分の償却費合計の額に専業専用割合を掛けた値なので
56,250×1.0で「56,250」と記入します。
未償却残高には購入価格の900,000から本年分の必要経費合計を引いた値を入力するので900,000-56,250で「843,750」と記入します。
これで完成となります。また、実際にこのシートを使って記入もしてみてください。
また、自分で購入した軽トラックの場合を説明しましたが、私のように集落の生産組合に加入されている方は共同購入している農機具等の減価償却があると思います。
だいたい年末に決算報告書に各家の減価償却費が割り当てられていると思いますのでその場合は減価償却資産の名称等に「一括償却資産」と記入しましょう。
そして一番右端に摘要の項目がありますのでそこに【別紙参照】と記入しておき生産組合から配布されている決算書をしっかりと保管しておきましょう。
租税公課
農業を営む上で支払った税金のことを指します。
車の自動車税、農地の固定資産税、土地改良区からの賦課金(水道代)
税金関係は全部この項目で合計して記入してください。
農具費
取得費が10万円以下もしくは1年以内に消費が終了するもの。
スコップ、鎌、バケツ、ジョウロなどこまごまとしたものは全部ここで合計してます。
農薬費、衛生費
文字通り農薬を購入した場合の費用はここに記入します。
田んぼの周りの土手の除草剤や田んぼ内のヒエ、ホタルイ等の除草剤の購入費をここに記入しています。
例えば自分の場合はバサクランやラウンドアップなんかはここに算入してます。
諸材料費
農具費と似ていますが農地に使用する諸々の消耗品という考え方をしています。
畔シートや防草シートなど主に農地管理に必要な材料費を記入しています
修繕費
固定資産の修繕にかかった費用をここに記入します。
軽トラックや農機具小屋の修理代等はここへ記入します。
ちなみに自分自身が悩んでいたのがスノータイヤの購入費でいろいろとネットで調べてみると修繕費として計上するのが一般的みたいです。
動力光熱費
ガソリン代、水道代、電気代、通信費はここに記入します。ここでは家事按分も忘れずにしっかりと割合を決めておいてください。
作業用衣類費
農作業に必要な衣類関係です。
作業着、手袋、長靴等身に着けるものが当てはまるものだと思っていいと思います。
手袋や長靴は農作業用にしか使わないので100%経費ですが、衣類を共通にしている場合は家事按分を考慮して計算するのがよいかと思います。
農業共済掛金
農業に使用する車両の保険料や作物の損失に保険を掛けていればここに記入します。
ここでも家事按分の考慮は必要ですので忘れないようにしてください。
以上の項目に金額を記入出来たら経費計に金額を入力してやりましょう。
これで経費は完成です。
ざっくりと自分が主に記入に必要な項目だけを紹介しました。農家の業種によっては必要になってくる項目も異なりますので参考までに必要経費の一覧を張っておきますので利用してみてください。
どうしても最初は減価償却で手が止まってしまうと思います。しかし一度自分で理解してしまえば本当にどうってことないというのもわかってくれると思いますのでぜひ頑張ってやってみてください。
どうしても面倒だなと感じる場合は会計ソフトの導入を検討しても良いと思います。
特に農業会計に関してはfreeeが対応していますので帳簿付けには便利です。