【第40回】自然界から学ぶポートフォリオ理論

皆さんは働きアリの法則を知っているでしょうか。

アリの集団は常に2:6:2で構成されどの集団をみても、かなり働く、普通に働く、さぼるという構成になります。

仮にかなり働く2割の集団を取り除いても残った集団はまた、2:6:2なり、かなり働くアリだけだった集団も2:6:2になるという法則があるそうです。

この自然界の法則から自分自身の資産を守る最適なポートフォリオの解の1つを解説していきたいと思います。

目次

なぜ2:6:2になるのか

どうしてこのような構成割合になったのかはわかりませんが1つ言えることはこうなることで効率的に仕事をこなすことができるからだと言われています。

どうやらアリにも疲労度があるらしくその疲労度を全員が同じにならないように分散しているとのことだそうです。

仮に全員が同じ仕事をして同じ疲労度を抱えた時休むタイミングが同じになってしまうと全体としての仕事は0になってしまう。常に仕事を継続するにはこの割合で分散させ2割のよく働くアリの疲労度が一定に達したときその役割が入れ替わるようになっていると研究されているようです。

自然界でもリスク分散されている

私はアリ自身は一時の仕事量が大幅に上昇することよりも安定した仕事を常にし続けるほうがより効率的だと判断しこのような行動とるようにプログラムされたのだと感じました。

この法則自体はよく学校や会社のような集団社会のなかでも例えられ皆さんは働かないアリにならないようにしましょうとか言われた記憶があります。

しかし、実際はそうではなくアリ自身の持つパフォーマンスは全員一緒だとすると自分の役割を把握した上であえて働いていないという決定的な違いがあるのです。

アリはリスク分散のためにこの法則をとっていますが人間社会では全員の持っている能力が異なる以上この法則は前提条件として当てはめてはいけないものだと私は思います。

話が少し脱線してしまいましたが、この働きアリの法則はリスク分散の観点から金融資産のポートフォリオに利用できると私は考えました。

金融資産における2:6:2

では金融資産における2:6:2になるようなポートフォリをはどのようにすれば良いかを考えていきましょう。

よく働くアリはパフォーマンスが大きいわけですから他金融資産において他と比べてリスクをとった資産をもつことであると考えます。

普通に働くアリは通常のパフォーマンスのため多少のリスクを取るものの値動きの少なめな資産をもつことであると考えます。

サボるアリはパフォーマンスを生み出さないことから、リスクをとらず安全資産で保有することであると考えます。

金融資産の2:6:2
2 比較的リスクの高い金融資産(アクティブ運用)
6 比較的リスクの低い金融資産(パッシブ運用)
2 リスクを取らない金融資産(金、債券、現金資産)

ここで、ん?アクティブ運用?パッシブ運用?って疑問に思う方もいると思うのでこの用語の解説をしていこうと思います。

パッシブ運用とは

パッシブ運用とは日本においては日経平均株価指数、TOPIX指数、米国においてはNYダウ、ナスダック指数、S&P500のような取引市場に存在する株価指数と同じ値動きをするように運用を目指すことをいいますう。

投資信託ではeMAXIS slim(S&P500)などがあります。ETFにおいてはVOO、IVV等があります。

いろんな指数が存在するためどれがパッシブ運用なのかわからないという人はインデックスファンドという言葉だけ覚えておけばこの名前が入っている商品はパッシブ運用なんだと思っていただいても差し支えはないかと思います。パッシブ運用はアクティブ運用に比べ運用コストが安いという特徴があります。

アクティブ運用とは

アクティブ運用とは前述したパッシブ運用よりも高いパフォーマンスを目指すことを言います。そのためにプロの投資家が独自に株式の銘柄を選定したり、不動産、債券、はたまたレバレッジをかけたりと様々な商品を組み入れた投資信託を販売しています。

また、組み入れた銘柄も積極的に売買を繰り返し短期的な利益を積み上げる運用方針のこと言います。投資信託商品だけでなく自分で個別銘柄やオリジナルのポートフォリオを組むこと、指数連動でないETFもアクティブ運用に含まれます。

一般的にこういった投資信託の商品は運用コストが高めになっていることが特徴です。その中でも手数料が安いのはETFで米国ETFだとVYM、HDV、SPYDなんかがあります。また、投資信託では楽天VYMなんかもあるので少額からの購入も可能です。

詳しくは以前の記事が参考になると思います。

リスクをとらない資産

便宜上リスクを取らないと表記しますが、全くもってリスクがないわけではありません。

あくまで株式運用よりも値動きの幅が少ないという意味でこのように表現していますので注意してください。

現金と債券はインフレが起こった場合価値は減少しますし、金においては米ドルでの購入なので基本的に為替レートの影響を受けます。

個人的には金資産は大富豪でもない限りそれほど持つ意味はないかなぁとも思いますので基本現金と債券で十分ではないかと思います。

ポートフォリオを組むとしたら

では実際にポートフォリオを組むとしたらどのように設定するのが良いのか考えてみました。

投資資金が月々3万円と比較的少額で積立を始める場合で考えてみましょう。

この場合、直接ETF等を買い付けるのは資金が少なく困難なため、すべて投資信託で購入するのが良いと思います。

月3万円の場合
アクティブ運用:楽天VYM  6,000円
パッシブ運用: eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) 18,000円
安全資産:現金  6,000円

投資信託のメリットは少額から積立設定をできることです。投資初心者は全て投資信託で設定してしまえばほとんどほったらかしで運用をすることができます。

ただし1つだけ自分でやらなければならないことがあります。毎月この配分で積み立てを設定していても毎日の値動きのせいでこの2:6:2の割合は変わってしまいます。

例えばこの積み立てを設定し1年たったと仮定したときの評価額を図に表します。評価額の変動率は楽天VYMが月+0.7%、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を月+0.5%と仮定しています。

1年後の評価額からこのポートフォリオの割合を再計算してみるとこの割合は2.1:6.4:1.5になってしまっています。

つまり働きアリの法則の割合とは変わってしまっているので元の2:6:2に戻してやる必要があるのです。

この場合は楽天VYMを7,369円分、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を22,106円分現金に戻してあげることで元の割合に戻すことができます。この作業をリバランスといいます

このリバランスを定期的に行うことで常に2:6:2の法則を守ることができ安定した常に同じリスク許容度で資産運用を行うことができるようになります。

全ての運用を投資信託で行うと1円単位で売却ができるために定額でも非常に正確なリバランスが取れます。これも投資信託のメリットともいえると思います。

若干計算が面倒なところかもしれませんがこれを年に2回するか1回にするかとかを自分で決めれるようにするといいのではないかと思います。参考程度ですが米国の高配当ETFは年2回のリバランスを行うファンドが多く見受けられます。

まとめ

まとめ
  • 働きアリは2:6:2の割合でよく働く、普通に働く、さぼるに別れることでリスク分散を行っている
  • 投資においてもリスク資産を2:6:2の割合で保有するのは最適解の1つだと考えられる
  • 投資における2はアクティブ運用、6はパッシブ運用、2は現金、債券、金である
  • 1年に少なくとも1回以上はリバランスを行わなければならない
今回は以上となります。リバランスの計算が若干手間のかかる作業かも知れません。しかし資産運用はこのリバランスが最も重要なポイントであると私は考えています。
資産運用によって仮に莫大な利益が出た場合は資産全体における株式の保有割合が非常に大きくなってしまいます。そうなると意識していなくてもかなりリスクを伴った運用になってしまっているので安定した利回りを目指すならこまめなメンテナンスは必要なことであると思います。頑張りましょう。

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