【第5回】家計の支出を見直そう

今回は家計の支出を見直すということで主に生命保険にフォーカスしていきたいと思います。

一応本業は医療従事者なのでお医者さんほどではないですけどお金の側面からのお話。

目次

生命保険の役割

保険とはあまり起こりえないリスク(病気やケガ)がもし発生したとき
生活が成り立たなくなると困ってしまうためみんなでお金をプールして
そのリスクに備えておこうという考え方で成り立っていますね

そのために皆さんは何かしら生命保険に加入していると思います。

死亡保障、3大疾病特約、入院保障、手術保障、先進医療保障etc

死んだときに保険は下りてほしいし、2人に1人はがんになる時代だし、けがで働けなくなったら収入もなくなるし、手術になったらもっとお金もいるかもしれない

なんかもう色々つけておいて月々15,000円くらいで安心ねっていう感じですね。

実際に生命保険文化センターの調査によると平成27年度の調査では
30代以降は月々1万円以上の支払いがあり
年を取るにつれて年々支払額も大きくなっています。

しかし、今回あえて主張させてもらいたいことはこの生命保険

私はほとんど必要ないものだと考えています。

実際に医療費はいくらかかるのか

まずは実際にケガや病気で入院した際に必要な金額をシミュレーションしてみましょう

この表を見てください。見にくいですがすいません

厚生労働省のデータから再編したもの 1疾病あたりの平均費用と平均入院日数

働き世代が疾病にかかった時にかかった費用と入院日数の平均を厚生労働省のHPの分析データから計算して新たに作り直したデータです。

例えば悪性新生物(がん)ではどの世代も10日くらいの入院で70万円を超えています。

また20歳代を除いては循環器系の疾患で20日くらいの入院で100万円くらいです。

働き世代の入院日数とその疾患
 悪性新生物(がん)による入院:最大13日で費用は最大約90万円
循環器系疾患(心臓)による入院:最大17日で費用は100万円程度

これを見るとめっちゃ高いじゃんと感じるのではないでしょうか。

しかし実際はそんなにかかることはあり得ないのです

なぜなら私たち日本人は公的保険制度に加入しているからです。

では公的保険制度の高額療養費制度に関して詳しく解説しましょう。

はるさめ
難しい言葉だけど、ついてきてね。

高額療養費制度とは

高額療養費制度とはその人の収入によって毎月の医療費の上限が設定されている

大変素晴らしい制度です。下の表を見てください。


※1は保険適応のものに限ります

ほとんどの人が区分ウになるでこの例に従って一度考えてみたいと思います。

例えば
急性心筋梗塞により20日間の入院治療を受け、医療費が100万円となった場合

80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1%

これを計算すると87,430となります。

ただしこれは1か月の上限額なので20日間の入院で月をまたいでしまった場合は料金は最大でこの2倍になると想定します。

それをもって2倍して174,860となります。

はるさめ
意外と安いと思いませんか?

もうちょっとシミュレーションを詳しくしてみましょう。これはあくまで治療費のみで

実際に入院した場合は差額ベッド代、食事代がかかってきます。

差額ベッド代とは要するに希望で個室に入院した場合の部屋代のことです。

自分の職場では最高1日6,000円なので20日で120,000円になります。

食事代は1食500円くらいだった気がするので20日で30,000円です

ではこれらすべてを合計すると、自己負担額は324,860円となるわけですね

この金額を聞いてどう思われますか?

意外と安いと思いませんか?

がんで死ぬ確率を調べてみよう

そもそも働き世代が循環器疾患やがんになる確率そのものが結構低いです。

循環器系疾患はいわゆる生活習慣病ですので普段の生活に気を付ければリスクを下げられますし、がんに関しては下の表を見てください

がん統計サービスのデータでがんによって死亡する確率を年齢別で表しています。

例えば現在30代の男である私が働いているであろう30年後までにがんによって死亡する確率はこの表からだと1.4%となるわけです。

1.4%という数字をどのように受け止めますか?
この確率に30歳代以上の人が平均で年間27万円以上の保険料を払って備えているわけです

つまり30年では累計810万円以上も支払うことになるのです

念のためもう一度言いますが一度の治療と入院で自己負担額は約30万円くらいです。

ちょっと割に合わない気がしません?

いやいや掛け捨てじゃなくて積立だから満期まで払えば元本戻ってくるし

っていう反論が返ってくる気がします。

今度はこの反論を潰していきたいと思います(笑)

貯蓄型保険の仕組み

よくある元本保証型の貯蓄型保険には大きく分けると

終身保険

保険払込期間まで支払えば解約払戻金が元本以上になる場合がある

養老保険

保険払込期間まで支払えば満期時に死亡保険金と同額の払戻がある

学資保険

保険払込期間まで支払えば子が特定の年齢(17~22歳)に達したとき元本以上の払戻しがある

これらに大別することができます。

これらのメリットは基本的に元本保証で満期まで支払えばむしろプラスに受け取れてなおかつ生命保険控除も受けられるので貯蓄と投資も兼ね備えた非常に素晴らしい保険です。

とはなりません。なぜならこれらの保険料を支払うことによって自由に使用できる現金預金が減ってしまうからです。

あんまりしっくりこない人もいるかもしれませんが、これらの保険に加入すると保証期間内の解約は必ず元本より少ないお金しか戻ってこず、いわゆる元本割れします。

そのリスクはもちろん説明されて加入するのでなにがあっても絶対に手を付けていけないお金という認識になってしまうのです。

確かに実際に病気やけがになった時には多額の保険金が下りることになりますがそもそもそのリスク自体が少ないし、死んでしまってはそのお金も自分では使えません。

はたして本当にこれらは必要でしょうか?

では学資保険はどうでしょう?

学資保険は例えば10年間支払いを続ければ子供が17歳になった時に元本より多い金額を支給しますよという保険でJAバンクの子供共済でMAX8%の利回りがあります!!

という商品を見かけます。これはどうでしょうか。

例えば10年間で100万円積立したらその7年後には108万円で受け取れるというものです。17年かけて8%の利回りなので年間の利回りは0.47%と銀行よりは高い程度ですね。

また、FP業界ではライフイベントを考えるときインフレ率といって物価上昇率を毎年1%上昇するという想定をしています。それを考慮すると毎年現金の価値が0.53%づつ目減りしていることになりますよね

つまり長い期間現金を積み立てるというのは物価上昇の影響より大きな利回りを出せなければ資産を減らしていることに他ならないと私は考えています。

じゃあどうしたらいいの?って言われそうです。

保険と貯蓄と投資は分けて考える

積立型の保険の最大のメリットである保険と貯蓄と投資を兼ね備えたハイブリット商品

聞こえはいいですが私はこれ自体が最大のデメリットだと感じています。

保険は保険 貯蓄は貯蓄 投資は投資 これらの役割はきちんと個別でやるべきです。

保険は掛け捨てで安く抑え、貯蓄できる金額自体を増やしリスクに備える

リスクに備えるだけの貯蓄ができたらそれ以上のお金は投資に回す。

これこそが最大のリスク分散になると私は考えています。

内容がもりもりなので私が思う入るべき保険は第6回で詳しく紹介します。

 

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