2021年2月末に米国の10年国債の利回りが上昇したことにより株価が大きく下落しました。
一般的に債権の利回りが上昇すると株価は下落し、反対に利回りが低下すると株価は上昇します。
今回のおはなしではなぜこのような関係になるのかを解説して株価と金利の関係の理解を深めてもらいたいと思います。
目次
株価はどうやって決まっているか
そもそも株価はどのようにきまっているかという話から始めなければいけませんが、皆さんはどのように株価が求められているかはご存じでしょうか。
ずばり企業の価値です‼といわれてもポカン(゜Д゜)みたいな顔しかできませんね(笑)
その企業の価値の定義とは、「その企業が永続的に生み出す利益を現在価値に換算したときの総和」
もっと何言ってるかわからないかもしれません。特に現在価値に換算したときという部分がこの定義をややこしくしている部分だと思います。図で解説します。
たとえば今現在の1万円と10年後の1万円の価値では現在の1万円の方が価値が高いことはわかると思います。銀行の金利が仮に10%だった場合1万円を銀行に預けておくだけで10年後には25,940円になります。
つまり銀行の金利が10%の世界では現在の1万円は10年後の約2.5万円に相当するわけです。
一方10年後の1万円は現在の価値に換算すると3,854円になってしまう訳です。これが現在価値という考え方になります。
ではこれを踏まえたうえで企業の価値を考えてみましょう。
毎年1,000万の利益を生み出す企業の場合
ではさきほどの金利が10%の世界で毎年1000万円の売り上げを出す会社の価値を計算してみたいと思います。
さっき説明した通り企業の価値は「その企業が永続的に生み出す利益を現在価値に換算したときの総和」ですから1-0.1を延々と乗じてやると0に収束します。その総和を求めると9000万円となりこれがこの企業の価値となります。
もしこの会社が発行株式を1万株としていた場合、株価は1株9,000円というようになるわけです。
もし金利が1%になったら
ではこの金利が10%から1%になった時を考えてみましょう。
同様に計算してみると約9億9千万円にまで価値が上がります。また同様に発行株式が1万株だった場合、1株の価格は約99,000円になります。
このように銀行の金利が下がることによって企業の価値そのものが大きく変化することが分かりました。
では銀行の金利は何によって影響を受けるのでしょうか。
金利は中央銀行がコントロールしている
中学校の社会の授業で紙幣発行権もつ中央銀行の存在を習ったと思います。よく銀行の銀行と覚えさせられていたと思いますが皆さんは覚えていますでしょうか。
この銀行の銀行というのがミソで具体的に全国に存在する銀行は一定の割合の資産を中央銀行に預け入れることを義務付けられています。
この中央銀行に預ける預金にも金利があるため利息が発生するわけですが現在の日本ではここの金利がなんとマイナスになっています。つまり預けているだけで資産が減っていくという銀行にとっては恐ろしい政策なのです。いわゆるマイナス金利政策ってやつです。
こうなると困るのは全国の銀行で中央銀行に預けている分だけ資産が目減りしてしまう以上安い金利でもいいからとにかくたくさんの人たちや企業にお金を貸してマイナス分を相殺しようとします。
そうすることで市場に現金が多く流通し、国民の消費が増えるという構図が生まれるのです。
つまり中央銀行の金利の変動により銀行の金利も変動することが分かります。つまり中央銀行が金利が金利をコントロールしていることが分かりますね。
まとめ
以上のことから中央銀行の決める金利によって銀行の金利が変動することが分かりました。
そして銀行の金利が低いときは企業の価値が下がりにくいため株価が上昇しますが、金利が高いときは企業の価値が下がりやすいため株価が下がります。
つまり中央銀行の金利が間接的に株価にも影響するというのが一般的な金利と株価の関係になっていることが分かりました。
この企業の価値というのは専門用語で理論株価とよばれておりこの理論株価と現在の株価の差をみて割安や割高と判断することもあるようです。
もちろんこれだけで割安、割高を考えるべきではないので注意は必要ですがあくまで指標の1つとして理解しておくとマクロ経済を理解するのに役に立つのではないでしょうか。