前回は副業をしていないサラリーマン向けに節税方法の解説をしました。
今回は副業として農業を行なっている自身の節税方法を紹介していきますので参考にしてみてください。
目次
税金は収入から控除分を引き算して決まる
おさらいですが私たちが普段支払っている税金はどのように決まっているか覚えていますか?
給与収入、各種事業による収入、配当による収入から様々な控除制度を利用することで収入から控除分の金額を差し引くことができます。
差し引き後の金額を所得と呼びその金額によって私たちが支払う税金が決まっています。
下の図に私の収入源と利用している控除制度を載せます。
所得の計算
給与収入
私の一番大きな富の源泉となっている部分です。
この収入から給与所得控除額、社会保険料控除額、配偶者特別控除の適応等が決まります。
サラリーマンにも仕事をするための経費となる部分が存在しますよね。
会社に行くために着ていくスーツがよくたとえに出てきます。しかし、それをいちいち経費計上して、税務署がチェックするというのは非常に非効率ですよね。
そのためにこのぐらい収入がある人は〇%までは経費として認めますよ、という基準があります。それが給与所得控除です。
社会保険料控除は給料から必ず天引きされる税金で、標準報酬月額の9.15%となっています。標準報酬月額は4、5、6月の総支給から非課税分(交通費、出張費など)の手当を引いたものの平均から決定します。
この標準報酬月額の金額を基準に健康保険料、雇用保険料、将来もらえる年金額がきまるため自分はどの部分に位置するのかは把握しておく必要があります。
これは給与明細から天引きされている厚生年金保険料の金額を9.15%で割ることで把握できるためご確認ください
重要なことはこの社会保険料はサラリーマンで給料をもらう以上安く抑えることは不可能です
- 給与収入からされる控除は給与所得控除と社会保険料控除(雇用保険含む)がある
- 給与収入からされる控除は自分でコントロールすることはできない
農業収入
農業収入は主に米の売り上げから経費を引いて計上しています。
この経費となる部分をどれだけ客観的に根拠のある金額にしつつ大きくできるかが節税のカギになります。
私の場合稲作と野菜の売り上げが毎年80万円ほどあります。一方で経費としては160万円ほど計上しています。
このため農業所得は-80万円となりますが、このマイナス分の所得は給与所得と合算することが可能です。
だいたい私の場合給与所得と農業所得を合計すると120万ほどになります。
経費に対する考え方は過去の記事を参考にしてください。
株式による配当金
私の株式の配当による収入は120万円程度です。ただここから分離課税として20.315%の税金が源泉領収され、実際に懐に入るのは大体100万円程度になります。
ただしその年にかなり個別株で損失を出していたので損益通算をすることができ、配当金による税金は全て還付を受けることができました。
- 配当金による受取額120万
- 個別株の売却損と合わせると0円
- 給与と農業と株式による所得は合計120万
所得控除額の計算
まずは基本的な所得の計算ができたのでここから差し引くことができる所得控除を挙げていきます。
生命保険料控除
生命保険料は支払額に応じて控除できる金額が最大4万円まであります。
私の場合年間24,000円支払っており、控除できる金額は22,000円です。
また保険関連で言えば、火災保険に付帯する地震保険料も支払額5万円以下は全額控除することができます。
配偶者特別控除
次に夫婦共働きの場合で配偶者の収入に応じて控除額が変わる配偶者特別控除が適用できました。
配偶者特別控除とは下の図によって配偶者の所得(収入−給与所得控除−基礎控除)によって控除額が段階的に決まっています。
私の場合、妻の所得が95万円以下に該当するため、満額の38万円の控除を受けることができました。
老人扶養控除
70歳以上の老人と同居している、同居していなくとも生活費を工面していることが証明できれば58万円の扶養控除を適応することができます。
私の場合、齢90歳の養母と住まいは別ですが食事はともにし、電気代は私が負担しているため扶養控除の適応ができると考えています。
- 配偶者特別控除38万
- 老人扶養控除58万
- 所得から控除できる合計額約98万
所得税からの控除
では上記で求めた所得120万円から所得控除分約98万円を差し引くと22万円になりました。
この金額から支払うべき所得税率が決まりますから、早見表で確認してみると5%になりました。
よって私が支払うべき所得税は11,000円になりました。また、住民税が10%かかり22,000円になります。
住宅ローン控除
そしてここから最強の所得税控除住宅ローンの登場です。
現在のローン残高の1%が所得税から控除することができ、私の場合22万ほど控除することができます。
これによって無事に私の支払う所得税は0円になりました。
今回のように控除できる金額が支払う所得税よりも多い場合、申告分離課税分の所得税からも控除されます。
さらにそれでも控除しきれなかった場合は住民税からも控除されます。
ただ注意点としては支払う住民税が少なくなるとふるさと納税の限度額も減ってしまいます。
- 支払う所得税額11,000、住民税22,000円
- 控除される税金22万円
- 控除後の支払う税金0円
最終的に支払う税金は1円もありませんでした。
住民税によって影響するもの
実は支払っている住民税の金額によって保育園の利用料金が変化します。
ただしこの場合、住宅ローン控除によって控除された金額は考慮されません。
つまり、保育料の算定には私は住民税は22,000円払っていることとして計算されるのです。
均等割の3,500円分を考慮すると合計で25,500円の住民税を払っていることになります。
その金額を払っている場合、私の住む自治体では子供の保育料は月額4,900円になりました。
もし私が農業を行なっていなかった場合は月額36,500円の水準にまで跳ね上がるので本当に農業による所得の合算ができたことにホッとしました。
差額だけでも年間で40万程ありますから家計負担がそれだけ楽になります。
副業を行っていると生活費の一部を経費にできる部分がかなり大きくなります。