昨年からかなり世間にも浸透してきたつみたてNISA制度。私の周囲の環境を見てみると結構誤解して理解している部分があるかなぁという印象を受けます。
今回はなんとなくわかっているようで実はちゃんと理解できていないつみたてNISAを詳細に解説していきます。
目次
つみたてNISA制度の概要
まずはつみたてNISAについてのおさらいをしましょう。つみたてNISAとは金融庁が国民が積極的に資産運用を行ってもらうために打ち出した制度です。概要は以下の通りです。
- 国内に住んでいる20歳以上の人なら誰でも可能
- 株式運用における収益が非課税になる。非課税となる投資元本は年間40万円
- 非課税となる期間は購入してから20年間
- 購入できる投資商品は金融庁が認めたもののみ
とりあえずこの概要だけ見てみると、20年後には全額現金に換金することを前提として考えようとしませんか?
ただこれ半分は正解で半分は間違ってるんですね。
ではなぜ半分間違っているのかを深く掘り下げていきましょう。
非課税期間は20年間、運用期間は40年間
ではつみたてNISAを2021年から始めた場合で考えてみましょう。
毎年40万円をつみたてします。そうすると20年間は買い付けをすると2041年につみたてが終了します。
ここで注目して欲しいのは2041年に買付したものが非課税で運用できるのが2061年まであることです。
一般的に焦点があてられる20年間は前半部分にあたります。しかし一方で取り崩し期間の20年にはほとんど焦点が当たったことはありません。
では、前半のつみたて期間のシミュレーションを行い、次に取り崩し期間はどのように考えるのかを深掘りしようと思います。
- 運用商品:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- つみたて金額:毎月3万円
- 想定利回り:6%
前半の20年間はつみたて期間
まずは前半部分の積み立て期間をシミュレーションしてみましょう。
毎月3万円を20年間積み立てると投資元本は720万円で結果的に約1,386万円ほどになります。
今度はこれを毎年運用しながら取り崩していくことになります。
後半の20年間は取り崩し期間
次に考えなければならないのは積み上げた資産を毎月いくらずつ取り崩せば、20年後にピッタリ0円になるのかを考える必要があります。
これをセゾン投信の取り崩しシミュレーションを利用して調べてみましょう。
想定利回りを積み立て時と同様に6%で設定して20年かけて取り崩した時は98,000円ずつ毎月取り崩すことが可能という結果になりました。
もしつみたて終了後に全額現金に換金してしまっていた場合は毎月57,000円しか取り崩すことができず、かなりの差が生まれることになります。
もちろんあくまでもシミュレーションなので取り崩し中の暴落によっては大きく資産を減らすリスクは伴います。そういったリスクを踏まえた上でどのようにお金を使っていくかを考えなければなりませんね。
老後資金のベースは年金
取り崩し期間中の暴落に耐えるにはあくまでつみたてNISAによる取り崩しが生活費のプラスαであることが必須であると私は考えます。
生活費を低く抑えてほとんど固定でもらえる年金でまかなえることができれば変動費にあたるつみたてNISAによる取り崩しはゆとり費として使えますね。
そのためにも自分がもらえる年金額を計算して把握し、現在の支出と比較しておくことが必要です。