兼業農家にかかわらず農業を営んでいる方は自分用にも作物を収穫して利用していると思います。
その場合は自家消費といい農業の売り上げとして計上しなければなりません。
今回はこの自家消費のきちんと計上しなければならない理由などを解説していきます
目次
自家消費とは
もう一度説明すると自家消費とは販売するための商品を自分の生活のために使用することを言います。
飲食店で言えばお客さんに出す料理を自分で食べるいわゆるまかないとかのことをいいます
実際に米農家である自分も販売用のコシヒカリの一部を自分が食べる分や兄弟や親戚、友人にあげる分を出荷前に分けて保管します。
この分は自家消費として売上に計上しなければなりません。
計上しなければならない理由
自家消費は自分自身への売上として考えなければならないので
必ず売上、つまり収入に計上しなければなりません。
これがなぜかと言うと結論から言えばそうしなければ脱税が簡単にできてしまうからだと私は考えています。
例えば1200kgの米を自分で生産したとしましょう。それを生産するのに50万円の費用がかかったとします。
そのうちの半分の600kgを自分の家族用、また妻の両親、はたまた親戚や友人にあげる分でとっておき残りの600kgを販売用に出荷しました。
米は60kgあたりの値段で取引されるのが一般的なので60kgあたり2万円の価格で取引されたとしますと売上は20万円になります。
自家消費分を計算しないと一年間通しての損益はマイナス30万円になります。
兼業農家だと給与所得との損益通算が可能なので所得税率10%の給与所得の人だと収める所得税が3万円安くなることになってしまいます。
さらに住民税所得割額も減るので自分用に売上を計上しないと容易に赤字ができてしまいます。
これは本来1200kgを作るための経費を600kg分しか販売していないので赤字になるのは当然ですよね。
そうならないように自家消費は売上に計上しなければならないのです。
つまりこういった業種の人が自家消費を計上していないと税務署に
こいつ経費を多めに計上して支払う税金を減らそうとしているのではないか?と怪しまれることになってしますのです。
では自家消費はお金のやり取りがないしどのように計上すれば良いのだろうか
自家消費のルール
自家消費にもルールがあります。
テキトーに値段をつけて相場より格安になってはいけません。
自家消費の計算は仕入れ価格かもしくは販売価格の70%の高い方となっております。
米の場合は基本的に販売価格に対しての70%が適応できると思います。
このため先ほどの例で言うと売上20万円に対し70%が自家消費分となり14万円が売上として計上しなければなりません。
つまり実際の売上は34万円になり本当の損益はマイナス16万円になるわけです。
まとめ
- 家事消費は売上として収入に計上しなければならない
- 価格はいくらでもいいわけではなく販売価格の70%とすること
- 正しく計上して思わぬところで脱税にならないように注意しましょう
このように自家消費を適切に計上しないと思わぬところで税務署に目をつけられてしまいます。
農協の人に任せていたころはこんなこと全然把握してませんでしたが自分でするようになってはじめてこの仕組みを知りました。
知ってる人からするとなんだそんなことかと思うのですが自分で作って食べてるのに自分への売り上げって何となく腑に落ちないなぁと思いながらいつも計上しています。
つい先日、早生の米の除草剤散布が完了しました。
これからしばらくしたら中干し期間にはいりその後はまた頻繁な水管理が始まります。
これから梅雨が明けると本当に暑いので体にこたえますが気をつけましょう。