【第41回】最強の節税、住宅ローン控除

住宅ローン控除とは住宅ローンによる借金返済の負担を軽減させるための節税効果が非常に高い制度です。

住宅購入検討の方で銀行から借入予定の方は必ず把握しておくべき制度であり、私自身がこの制度によって節税意識を高くさせられたので詳しく解説していきたいと思います。

住宅ローン控除の節税効果

住宅ローン控除は所得税の控除制度です。一般的に住宅購入におけるローンの残高の1%が課税される所得税から最大13年間控除することができます。

言葉だけでの説明ではなかなかわからないので具体例を上げて解説します。

設定
  • 年収500万円     
  • 2500万円の戸建て住宅購入 (住宅ローン控除適応)    
  • 2500万円を35年で借入 (元利均等方式)    
  • 2年固定金利0.5%
  • 夫婦共働きで配偶者扶養控除の対象ではない

ではこの場合の支払うべき所得税額を計算してみましょう。

所得税は年収500万円に対してではなく決まった税金を差っ引いたいわゆる手取り年収から計算されます。

年収500万円の場合にかかる税金はざっくりと20%位引かれますので手取り年収は400万円になります。

つまりこの400万円が課税される所得金額となります。

また、所得税は累進課税であり早見表から参照すると所得税率が20%となり、控除額である427,500円を引くと
572,500円となりこの金額が所得税の納税額となります。

そしてこの金額が毎月分割で所得税として給料から差し引かれているわけですね。

そして本題である住宅ローン控除を考慮してみます。

この条件における住宅ローンの毎月の返済額は64,896円となります。

仮にこの年の1月から返済がスタートしたとすると1年間での返済額は778,752円となり、ローン残高は24,221,248円となります。この残高の1%(100円未満の端数切り捨て)が支払わなければならない所得税から控除されます。

つまり24,221,248円の1%は242,212円となり端数切り捨てで242,200円が所得税から控除されます

今回の場合、572,500円すでに所得税を支払っていますから、控除分の242,200円が確定申告により全て返金されます

住宅ローン控除の最大の特徴は支払うべき所得税から直接引き算することができることです。

これはほかの控除制度とは大きく異なります。以下の図で所得税の計算の方法を示しましたが、配偶者特別控除や医療費控除などは収入から引き算されます。そして残った金額に対し税率が掛け算されます。

今回の事例の場合は20%でしたので例えば医療費控除で仮に30万円の控除があったとしてもこれも20%となるので実際に減額される所得税は6万円分ということになってしまうのです。

一方で住宅ローン控除の場合は最終的な所得税から直接引くことができるため非常に節税効果が高いことになるのです。

この住宅ローン控除は令和2年12月までの入居日を条件に現在のところ13年間控除申請して受けることができます。これを過ぎ、令和3年12月までは10年間の控除となります。

では控除期間が13年間の場合、どれくらいのお金が返ってくるのか計算してみましょう。金利は13年間0.5%として計算しています。この計算で行くと13年間合計の控除額は約280万円になりました。

仮に35年間、0.5%の金利であった場合は支払総額は約2700万円となりますので実際の支払総額は約2420万円と借入額よりも安くなる計算になります。

これは控除期間が10年だった場合でも2500万円を切る計算になるため、この制度さえ適応できれば実質無金利でお金を借りれたことになるのです。ただし35年も金利が0.5%にはならないとは思いますので若干足は出てしまうのではないかと思います。

所得税が控除額より少ない場合

今回は年収500万円の設定で計算をしましたが私のように兼業農家で給与とは異なる収入がある場合でしかもその所得が赤字の場合は話が変わってきます。

設定
  • 給与所得が400万円
  • 農業所得が-150万円
  • 借入額2500万円(35年、金利0.5%)

このように農業所得が赤字になってしまった場合は給与所得との合算ができます。このため実際の課税される所得は250万円となり実際に支払う所得税は152,500円となりますが、すでに給与からの天引きで572,500円を支払っているため、この差額分420,000円が返還されます。

さらに住宅ローン控除額は243,900円であることから差し引き-91,400円となります。ただし所得税がマイナスになることは税制上ありませんので実際は納める所得税は0という計算になり、152,500円も返還されます。

では残った91,400円分はどうなってしまうのでしょうか。

所得税からだけで控除しきれなかった場合は住民税から控除することができます。

住民税は確定申告をしてしまえば自動的に翌年度の6月から控除分が計算された額が自動的に計算されますのでほったらかしでOKです。

住民税は課税される所得金額の5%と決まっていますからこの場合は125,000円+自治体による基本料金が翌年に支払う住民税となります。ここから91,400円が控除され翌年度は33,600円+自治体による基本料金を支払うことになります。

ただし住民税から控除できる金額はある程度制限があります。今回の場合では所得から控除しきれなかった分の方が少ないため91,400円が住民税控除額となりました。

住宅ローン控除の住民税控除の制限
  • 課税される所得の7%(上限136,500円)
  • 所得税から控除しきれなかった分の金額

    いずれかの金額の少ない方が適応となるので注意

住民税からも引かれるなんてどんだけ住宅ローン控除って優れてるのって話ですよね。じつはさらに株式の配当所得や譲渡所得がある場合それにかかる税金からも控除されるのです。

配当所得や譲渡所得がある場合

兼業農家の設定でさらに追加設定として配当所得が100万円あるとします。この場合にはどのように控除されるかも計算したいと思います。

追加設定
  • 配当所得が100万円

株式の配当所得や譲渡所得には申告分離課税といい、給与所得や農業所得とは合算することはできず株式の利益そのものに約20%の税金が課税されます。内訳としては15.315%が所得税(震災復興税含む)で5%が住民税がかかります。

給与所得等とは合算できないためこの場合に発生する配当所得による所得税は153,100円となります。先ほどの例の所得税から控除しきれなかった分91,400円は住民税から控除されずに申告分離課税分の所得税から控除することができます。

その結果この場合の所得税の納税額は61,700円となります。

このように住宅ローン控除は最終的に納めなければならない所得税から控除され、控除しきれなかった場合は住民税からも控除されるという最強の節税制度であることが分かりました。

住宅ローン控除の条件と制限

次に住宅ローン控除にはいくつかの条件と制限があります。

個人であること

まず大切なのが個人の購入であることが前提です。会社名義などの法人による購入には住宅ローン控除は適応されません。

年間所得が3000万円以下

お金持ちには必要ないという意味でしょうね(笑)

床面積が50㎡以上240㎡未満である

住宅の床面積が50㎡以上240㎡未満の時に住宅ローン控除が適応されます。この際の床面積とは住宅の延べ床面積をいい住宅の部屋のすべての面積を合計した値のことを指します。

注意点としては登記上での延べ床面積は壁芯面積といい、壁の中心を基準とした面積を指します。

一方で住宅ローン控除の際の延べ床面積は内法面積といって壁の内側を基準とした面積のことをいいます。

つまり壁芯面積上の50㎡だと内法面積では50㎡より小さくなるのでこれだと控除を受けることができなくなってしまうので区分マンションのような比較的小さい住宅を購入する方は注意が必要です。

https://smile.re-agent.info/blog/?p=2736より引用

借入金の返済期間が10年以上であること

住宅ローン控除の適応は借入期間が少なくとも10年以上あることが条件です。

適応額は4000万円まで

これは例えばその年の住宅ローンの残高が5000万円あった場合控除対象となるのは4000万円までとなり控除額の上限は40万円となります。このため控除があるからとあまり高額な住宅ローンを組むのは浅はかといえます。

令和3年12月末までに入居していなければならない

非常に重要なポイントですがこの住宅ローン控除を受けるには現在のところ令和3年の12月末までに入居していることが条件です。入居日とは住宅メーカーからの引き渡し日と同じ意味ですので新築戸建てを購入する方はきちんと逆算して契約して購入しておかなければならないので要注意です。

また、消費税増税に伴う特例があり令和2年12月末までの入居で通常10年間の控除期間が13年になるのでここ最近(令和2年9月現在)の住宅業界は新築ラッシュだと思います。

※今後の政府の方針で延長の可能性もあるため動向の把握が必要です。

条件と上限
  • 個人であること
  • 年間所得が3000万円以下
  • 床面積が50㎡以上240㎡未満であること
  • 借入金の返還期間が10年以上であること
  • 適応額は4000万円まで
  • 令和3年12月末までに入居していなければならない

住宅ローン控除のデメリット

最強の節税である住宅ローン控除にはデメリットなんて存在するのでしょうか?実は一応存在します。

それは、ふるさと納税による限度額が減少する可能性が高いことです。

おさらいですが、ふるさと納税は住所のある自治体に収める住民税を他の自治体に収めることで返礼品を受け取ることができる制度です。

そして確定申告による控除とワンストップ特例制度による控除では控除のされ方が異なることを以前の記事で解説していました。

今回の設定のように農業所得との合算により控除できる所得税が住宅ローンよりも少なかった場合、住民税から控除することができましたが、これによってふるさと納税の限度額も減少してしまうのです。

また、確定申告によってふるさと納税の控除を行うと一部は所得税分から控除されるため、支払う所得税が存在しないとそもそも控除を受けることができなくなってしまうのです。

確定申告に必要な書類

住宅ローン控除を受けるためには控除を受ける最初の1年目には必ず確定申告が必要であり、いくつか必要な書類があります。

あくまで新築戸建てのパターンでの話ですのでこれが全てではありませんのでご注意ください。また、源泉徴収票等の通常の確定申告に必要な書類は含めていません。

1年目だけ確定申告を行えば税務署から残りの年数分の申請用紙が届きます。必要事項を記入し毎年の年末調整の際に残高証明書と一緒に提出するだけであとは会社が勝手に手続きはしてくれますので最初の1年だけは頑張りましょう。

必要書類
  • 登記簿謄本:法務局で発行してもらえる。土地の権利者や抵当権に関する事項が記されています。
  • 不動産売買契約書:住宅メーカーと交わした契約書のコピーが必要です。
  • 住宅ローンの残高証明書:毎年11月頃に借入している銀行から送られてくる

まとめ

今回紹介したのは借入額と住宅の取得金額が同じ場合の事例です。購入した住宅価格と借入額が異なる際は控除される金額が異なる場合もあるのでご注意ください。また、住宅ローン控除制度には中古物件の場合やリフォーム費用等にも適応する場合がもありますのでしっかりと自分でも調べることもお勧めします

まとめ
  • 住宅ローン控除は最大13年間で毎年のローン残高の1%(最高40万円)を支払う所得税から控除できる
  • サラリーマンの場合、最初の1年目は必ず確定申告を行い、翌年からは年末調整で控除を受けることができる
  • 住宅ローン控除を受けるときはワンストップ特例制度を利用するのが無難

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