【第38回】資産運用はAIに任せていいのか?

近頃AIを利用した投資信託が台頭しています。

簡単なアンケートをとってリスク許容度を測り、その許容度に応じたポートフォリオを設定してもらい、あとは入金しておくだけで勝手に運用してくれるという優れもののようです。

ほったらかし投資の究極完全版となるのか考察していきたいと思います。

AIロボット運用サービス

そもそもこのサービスは複数の投資信託(ETF含む)を組み合わせた投資信託を販売するというものであり一般的にこのようなファンドのことファンドオブファンズと呼びます。

これを組み入れる投資信託の選定には通常ファンドのマネージャーがいるのですがここをAIによって選定してくれるサービスがこのAIによる自動運用サービスなのです。

世の中には多くのAIサービスがありますが今最も未上場企業の中で注目度も高いと言われているのがウェルスナビです。

ウェルスナビ

ウェルスナビは、全自動で国際分散投資を行うサービスです。厳選した6~7つのETF(上場投資信託)を通じ 、約50か国1万1000銘柄に投資しています。(ホームページより抜粋)

最初に無料診断をすることで投資家のリスク許容度を求めて最適なポートフォリオを作成してもらい、あとは自動で積み立てか一括で購入して配当金を再投資していくように運用してくれるみたいです。

また最初に作成されたポートフォリオになるようにリバランスも自動的に行ってくれて本当に入金後はほったらかしでいいようです。

投資対象は米国ETF

実際にETFはどんなものを取り扱っているかといと株式は3つで米国株式のVTI、日欧株式のVEA、新興国のVWOで構成されています。

また債券は第37回でも紹介した米国債券ETFであるAGG、金はGLDです。また不動産のセクターもありこれはダウジョーンズ米国不動産指数に連動する不動産株式に投資するETFでありIYRといいます。

これらのETFは純資産額がIYR以外はトップ10に入るほどの超人気ファンドでありこれらのETFを選定しているあたりはすごく評価できる良心的なサービスだなと感じています。

私自身も株式投資をするならば基本的に米国メインを推奨しています。過去の株価推移をみるだけでも投資判断としては十分ですが、先進国における人口ピラミッドを見てもらうとより説得力が増すと思います。

左がアメリカで右が日本の人口ピラミッドです米国はいわゆるつりがね型で、日本はつぼ型の分布をしています。小学校の社会科何かで習ったことがあるのではないでしょうか。

子供の人口の割合が日本に比べて多い米国は将来的にも労働力となる人数が多いというわけですからどちらの国の方が経済的に豊かになるかを予想するのは容易なのではないでしょうか。

これは私の予想ですがウェルスナビも同じような考えから基本的にVTIを持つことで資産を増やすことを前提としているのではないかと考えています。

信託報酬は年1%

今回最大のキーポイントとなるのが信託報酬の1%という部分です。100万円を1年間運用してもらった場合1万円の手数料がかかるわけです。1日あたりのコストにすると27円になります。

では同じ運用資金100万円をウェルスナビのリスク許容度5の場合のポートフォリオを自分で運用した場合の手数料を求めてみます。ちなみにリスク許容度5の場合のポートフォリオは以下の通りです。

VTIは経費率0.03%、VEAは0.05%、VWOは0.1%、AGGは0.04%、GLDは0.4%、IYRは0.42%となっています。これらを上記のポートフォリオに従った金額で手数料を計算すると年間でなんと945.5円です。1日あたり2.5円となります。

つまり自分で同じポートフォリオで同じ額だけ運用した場合1年で約9000円分の差が発生します。要するにこれがウェルスナビの取り分になるということが分かりますね

投資利回りが年間で5%でたとしても手数料が毎年1%手数料引かれ実効利回りは4%となってしまう訳です。長期運用を想定する場合、信託報酬で1%の手数料がかかることは非常に重たい足かせとなってしまうのです。

積立シミュレーションで解説しましょう。例えば毎月3万円を15年間利回り5%で運用した場合と4%で運用した場合で比較してみます。

利回り1%差の比較

差額は15年間で635,953円となり年間当たりの差額は42,396円となりました。この差額から実際のETFの経費率を引いた分がウェルスナビの取り分となる訳です。では今度は自分で運用した場合の実効利回りからの最終積立額を計算してみましょう。

さっきのポートフォートフォリオでの総経費率は計算すると0.09%となりましたので実効利回りは4.91%となります。この場合の最終積立金額は7,958,687円となりました。差額は15年間で59,981円となり年間当たりの差額は3,998円となりました。これが本来のETF分の手数料となる訳です。

自分で運用したときの実効利回り

さぁこの結果を踏まえてウェルスナビで運用するのと自分で運用するのとどちらの方がよいのかを考えてみてください。あんまり差額ないかなと思う人はウェルスナビで運用するのに向いてると思います。また結構差額が大きいなと感じる人は自分で運用するのが向いてると思います。

自分で運用するなら

では自分で運用する場合を選択した場合ですが私個人としての考えもふまえていくつかのパターンを紹介しようと思います。

ウェルスナビと同じポートフォリオを自分で設定する

まず1つは最初の無料診断によって求められるリスク許容度から設定されるポートフォリオを自分で設定します。

ただしこれには重大な欠点があり、一括購入する場合なら容易にこのポートフォリオを設定しやすいですが毎月コツコツ積立がしにくいです。

ETFの1株当たりの金額が結構バラバラでそもそも投資元本が月1万円しかないと全く話にならず、この状況だとVTIを1株も購入することができません。

VTIは2020年8月28日現在171ドルくらいしますからそもそも投資元本が潤沢になければこのポートフォリオを設定すること自体が不可能なのです。

そういった意味ではウェルスナビは額からできるので非常にメリットがあると言えます。

VTとAGGでポートフォリオを設定する

ここで第37回でも紹介したVT全世界株式(米国含む)とAGGをお勧めしたいと思います。

おさらいですがVTは米国を50%含む全世界株式約8000銘柄のポートフォリオが組まれたETFとなっておりウェルスナビのようにわざわざ3つのETFで保有する必要がないと思います。

ウェルスナビの公式サイトにはVTを選ばない理由にVTだと経費率が0.09%と高いからと述べていますが、要するに自分たちの儲けが大きくなるようになるべく手数料の少ないETFを選んでますって書いてあります。

また、楽天証券でVTを購入する際は売買手数料が無料のため必要な経費は信託報酬の経費率のみなので実効利回りが高くなりやすいと考えています。

そして、株式以外の資産は運用資金がそれほど多くない(少なくとも1000万以下)なら米国債券で保有するのみでOKだと思います。いろいろと理由はあるのですがシンプルに小さいお金をあまり細かく刻んでも特に意味はないと思うからです。

そもそも論ですが私自身は100万円で分散投資自体があまりナンセンスでETF1本でも十分なポートフォリオだと思います。

あとは株式と債券のバランスを5:5で保有するのか7:3などで保有するのかを自分のリスク許容度で考えるのが最適かなと思います。例えばウェルスナビのリスク許容度5を参考にすると大体ですが株式と債券の割合は8:2くらいになるので

100万円を運用するなら80万円をVTに20万円をAGGに一括投資したりその割合になるように積立ていくのがベストなのかなと思います。そうすればウェルスナビとほとんど同じパフォーマンスを出せるのではないかと思います。

株式と債券では不安な人には

これでもやっぱりもっと多くの金融資産に分散しないと安心できないという人にはこのような投資信託もお勧めします。

それがeMAXIS シリーズの8資産均等型という商品があります。これは国内株式、先進国株式、新興国株式、国内債券、先進国債券、新興国債券、国内リート(不動産)、先進国リートそれぞれを均等に保有するバランスの取れたファンドになってます。

これを毎月一定額積み立て設定することでかなり運用商品が分散されたポートフォリオを少額がから組むことが可能です。経費率は0.15%とウェルスナビよりはるかに安いです。

まとめ

まとめ
  • ウェルスナビは米国ETFで自動でポートフォリオを設定してくれてほったらかし投資が可能
  • 年間の手数料が1%と割高ではあるが投資先が優秀なので何にも考えたくない人には向いてる
  • 長期運用だと1%の実効利回りの減少は影響が大きいため基本的に自分で運用がおすすめ
  • ETFの直接買い付けのパターンならVTとAGGを自分のリスク許容度で割合を決定するのが良い
  • 積立でほったらかしたいならeMAXIS Slim バランス(8資産均等型)も良い

結論は人によるというのがちょっと逃げ腰の答えだったかもしれません。しかし本当にこれしか言えなくて最終的に判断するのは本人の意思だと思います。誰かのおすすめに従っているだけでは金融リテラシーはなかなか上がりませんので少しでも自分の記事がその一助になればと願っています。

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